クリント・イーストウッドミリオンダラー・ベイビー
友人のつよい薦めにしたがってレンタルして観たが、なにがおもしろいのかほとんど理解不能。他人から薦められたものはたとえ面白くても「つまらない」と言ってしまう悪癖をさしひいたとしても(けっきょくはさしひけなかったのかもしれないが)。
この感想の原因は起承転結という秩序への嫌悪にある。雪に埋もれて死ぬにせよ餅がつまって死ぬにせよ、事故とはえてして陳腐なものだが、タイトル戦でのあの事故はその後の医療倫理的なシチュエーションをつくりだすための、いわば逆立ちしたなできごとでとしてしかうつらないという意味で、あまりにも陳腐。もちろん、つくり話にこうした転倒があるのはあたりまえかもしれないが、それが成功するかどうかはこの転倒を感じさせないように昇華できたかできないかにかかっている。そして、この映画はそれに失敗し、かえって形式が内容を幽閉してしまっているために、観る者に既視感しか与えない。最初に主人公マギーが弟子入りを拒まれる場面、それでもけなげにジムに通う場面、どれをとってもそうとしかおもわれなかった。
ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
電車内で"No Future"とフードにかかれたパーカーを着ている受験生が単語帳をひらいて必死に単語をおぼえているのを横目でながめ、御茶ノ水駅でこれから総武線に乗って両国へ行こうとしている力士3人集を目撃する。

今日の一曲:Her Space Holiday, The Good People of Everywhere in The Past Presents the Future
Past Presents the Future